2015年5月23日土曜日

なぜ赤道儀はギアを使うのか。

赤道儀では、赤経軸、赤緯軸ともに手動であった時代の名残もあり、手で回す部分にモータを置き回転させている。

これは、歴史上いたしかたないところであるが、ガイドなどでバックラッシュと呼ばれる逆回転時などでのラグや、ピリオディックモーションと呼ばれる揺らぎが生じる。

ピリオディックモーションはオートガイドの導入により解決可能であるが、赤緯軸のオートガイドはバックラッシュの影響が高く、状況によっては赤緯軸のみオートガイドをオフにする、といった対応をとらざるを得ない場面もあるようだ。

当面の解決策としては、AOシステムの導入が考えられる。

AOシステムは補償光学とも呼ばれ、大気の揺らぎを補正することがもともとの目的ではあるが、大気による星の動きを追うことは、地軸の回転による星の動きや、赤道儀の誤差による動きにも対応可能なことを意味する。

もちろん、大きな角度の動きには追随しきれないため限定的とはなるが、AOシステムがガイディングにも有効なのは明らかだ。

一般にAOシステムでは
 ・大気の揺らぎに追随する
 ・追随が限度を超える場合は赤道儀にコマンドを出し、赤道儀のモータにより補正する
ということをする。

つまり大気の揺らぎを補償しながら、ガイドも行っているのだ。AOシステムは高精度のガイド装置でもあるわけだ。

そのため赤緯軸のバックラッシュ問題を解決するためには、
 ・赤経軸のガイドにはAOシステムを用いる(AO及び赤経軸追尾)
 ・赤道儀による赤緯軸ガイドは行わず、赤緯軸の補正はAOシステムにまかせる
というのが当面の解決策ということになる。

直近の主流の小型カメラでのオートガイドと流れはことなるが、AOシステムにより星像も安定しつつガイドも完璧になるということになる。

ただし、この方法も問題がある。これは極軸が十分にあってない、移動型の赤道儀では、赤緯側のガイドがAOシステムでの補正の限度を超えてしまう場合があることだ。

限度を超えた場合はやはり赤道儀にまかせるしかない。つまり問題解決のためには赤緯軸の構造そのものを変える必要があるということだ。

赤緯軸にバックラッシュを生じさせないためには、ギアをつかうこと自身をやめなくてはいけない。つまり今後の赤道儀は、赤緯軸はそのものがモータになる方式が採用される、というのが必然ということだ。車でいうインホイールモータという感じだ。

あと何年待つことになるか。
自分で作るのか?そんなモータはあるのか。オートガイド信号をどう伝えればいいのか?

=>と考えたところで、ハーモニックモーターを使ったダイレクトドライブの赤道儀がオーストリアから発売されているそうな。


日本の代理店は、田中光科学工業というところらしい。円高の時に調達したかった一台ですねぇ....

ちなみにハーモニックモータは産業用ロボットには当たり前のように使われている技術で、誰が始めに応用するかの問題であったようです。ファナックあたりの退職者の方でも安いやつ作ってくれないかしらん。<Katstcさんが特注品ですが作ってましたね...>

http://k-astec.cocolog-nifty.com/main/2014/06/post-761a.html






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