2017年12月8日金曜日

生命保険の高度障害時の給付研究

生命保険は死亡時以外にも付帯条項などで高度障害時に給付を受けられる場合があります。本日は、よろず研究所として何故か高度障害時の給付について研究します。

(1)給付の申請者
まず、高度障害時に給付を受ける場合には、本人による申請の他、指定代理人制度により、指定代理人であれば給付の申請ができます。

(2)給付の受取人
死亡時は相続人が受け取ることになりますが、高度障害給付の場合、受け取れるのは高度障害を持つ本人になります。

(3)税金
給付を受けた場合、問題となるのが税金です。

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a) 死亡給付の場合

まず死亡給付の場合、相続税となり、
 500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
となります。

法定相続人の数は、放棄がなかった場合の数で、放棄がある場合は差し引きされます。

各人への課税は、次の額にかけられます。

 その相続人が受け取った額 - 非課税限度額 x 受け取った額/保険金総額

ちなみに、保険金を一旦一人が受け取ったあと配分すると、配分は贈与となるだけでなく、非課税限度額は一人分の500万円になってしまうことに注意が必要です。

つまり、死亡時給付を一人に寄せたい(例:夫死亡時の妻に与え、子は放棄する)といっても、500万円以上の保険金額は相続税の計算対象となります。

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b) 高度障害給付の場合

給付時は税金がかかりません。また家族が受け取れる契約の場合にも税金はかかりません。ただし、本人死亡時に銀行行預金として残額がある場合、その全てが相続税の計算対象となります。

つまり、死亡時給付との比較では、本人死亡時までに500万円x相続人数分を使い切れば、相続税計算上有利となります。また相続基礎控除におさまるようであれば、銀行口座に残っていたとしても結局税金はかからず無税となります。

さらに高度障害給付を受けると、死亡時まで運用可能であるため、金利分有利となります。



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c) 相続税基礎控除
相続制基礎控除の見直しがあったようですが、平成27年時点では
 3000万円+600万円x相続人数
が控除額のようです。

さらに宅地の場合は、小規模宅地(330㎡)以下の場合、評価額の80%が減額されるようです。仮に路線価からの計算値が2000万円の土地であっても、400万円とみなされます。

そのため、高度障害給付の保険金額の他に、相続する資産が3000万円+100万円x相続人数以上なければ、結局は相続は非課税限度枠内ということになります。

相続人数4人、小規模宅地2000万円として、保険金額以外に3000万円以上の資産がないかぎり高度障害給付としてもらったほうがいいということになります。


(4)使途
死亡給付金は、相続するわけですから、相続後は本人の自由です。

一方、”高度障害保険金”は本人のものですから、本人の生活費・介護費用などに充てるもので、家族の住宅取得や保険加入などに使うことはできません。基本生計を一にするものが使うものですので、よっぽど高額な用途での使用がない限り、非課税枠内の相続において使途を問われることはないかと思われます。

=> 結論:通常は気にする必要はなく、金利がもらえる分早めに給付を受けた方がいい。
PS.現在の金利水準にぶったまげた。0.01%ってさ、2000万円あずけて2千円じゃん。
結論:あまり意味ないかも。運用がうまくいかないリスクあり。

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