2017年1月10日火曜日

発動性

脳出血は、脳梗塞と違い破壊的な病変なので、出血箇所の機能は完全に戻ることはありません。

ただし、残った機能を繋ぐことは可能なようで、ギリギリのところを訓練していくと数年かけて機能を使えるようになってきます。

ただ、それも本人がやれないと落ちていってしまう。本人が何かをやろうとする力が発動性で、この機能も前頭葉にあるのが辛いところだ。これを訓練出来ないと先が暗い。

発動性は、本人が何かの動作をする10秒くらい前から活動する神経の活動がある閾値を超えた時点で、本人の動作が開始することになる。まだ解明が始まったばかりの、そして重要な機能となる。

その発動は何から始まるかというと、様々な脳の活動を統合する中で始まることになる。

その機能の中には、自ら視野探索を行い、発動のための入力を得る機能、重み付けされたものに反応するGO機能、反応を抑止するNOGO機能といった直接的な低次反応もあり、そこが訓練、強化のポイントとなる。

ある程度機能が残る場合はいいが、多くを失うとその訓練そのものができないという、辛いものがある。

通常は見つけた数字を見るとボタン押しする、文章中の特定の文字を消す抹消問題などをこなすが、それもできない場合は、本人に合った方法を探さないといけない。

また、発動するための閾値自身が上がってしまう抑制の強化が生じる場合もある。この場合は抑制を解放させる必要がある。感情に訴え、リラックス出来る環境を整えることが重要となる。

なお、発動性というと何かをする、と言う意味に捉えられがちだが、何かをやめる機能もここに該当する。

また、情動との統合では、尿意なととの連動でトイレに行くという遂行の発動に影響を与え、生活の質に大きな影響を与える。

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